反りにくさを高める「一枚板の乾燥のはなし」

|どうして乾燥が必要なの?
木は伐採されたあとも、呼吸するように空気中の水分とやりとりを続けます。内部に残った水分が抜けていく過程で、木は少しずつ縮み、繊維同士が引っ張り合うことで割れや反りが生じることがあります。
乾燥が不十分なまま一枚板テーブルに仕立ててしまうと、数年後に天板が反ったり、割れが広がったり──そんなトラブルにつながることも。だからこそ、ヒダコレでは乾燥の工程にしっかりと向き合っています。
|ヒダコレの乾燥工程──「天然乾燥+人工乾燥」の組み合わせ
まずは天然乾燥。
自然の風と時間の力を借りて、木がゆっくりと水分を手放していく工程です。ただし、10年以上天然乾燥された一枚板であっても、現代の住まい環境では反ってしまうことがあります。
今の住宅は、高気密・高断熱が一般的になっています。室内の温度や湿度が一定に保たれることで、暮らしは快適になりますが、実はこの環境が木にとっては少し戸惑う環境でもあります。
木は、空気中の水分を吸ったり吐いたりしながら、周囲の環境に合わせて少しずつ形を変えています。ところが、現代の住宅では空気の流れが少なく、湿度も安定しているため、天然乾燥された木はそれまでの環境との変化から、急激な乾燥が進んでしまうのです。
そこでヒダコレでは、天然乾燥のあとに人工乾燥機を使い、含水率(木の中にどれだけ水分が含まれているかを示す数値)を8〜10%まで落とすことで、木が室内環境に馴染みやすい状態に整えています。
|「乾燥機に入れたか」ではなく「含水率が何%か」
人工乾燥機に入れたというだけでは、木の安定性は十分とは言えません。実際には、含水率が15%程度のまま仕上げてしまう業者も少なくないのです。
ヒダコレでは、最終的な含水率をしっかりと管理することを大切にしています。
含水率を10%以下まで落とすことで、木が暮らしの中で落ち着きやすくなり、反りや割れのリスクをできるだけ抑えています。
|見えない工程にこそ手をかける
乾燥は、完成した一枚板からは見えない工程です。でも、そこにどれだけの時間と手間をかけたかが、10年後、20年後の使い心地に影響してきます。
ヒダコレでは、木の個性を活かしながら、暮らしに馴染む一枚板を届けるために、乾燥という基礎づくりを丁寧に重ねています。